2025/1/26 【ブログ】
【ガイドの小箱】 ~鏡よ鏡、世界で一番美しいのは~
(ボランティアガイドTさんより)
今回は、八尾の鏡作神社(かがみつくりじんじゃ)のお話です。
田原本町近辺に鏡作といわれる神社が、ここを含め5つあります。
田原本町に4つ、三宅町石見に1つです。(探してみてはいかがでしょう?!)
弥生時代後期後半に、鍵・唐古遺跡を中心に鋳造技術の集団がいて、銅鐸をつくっていました。
この集団が、5世紀はじめに、朝鮮半島の新羅から伝えられた鋳造・鍛造技術を身につけて、鏡の製造をしたのだろうと考えられています。
倭鍛冶(やまとかぬち)といわれ、奈良時代になっても、大きな勢力をもっていました。
これをひきついだ鏡作氏が、この近辺に住居して、鏡の鋳造を継承して、氏神として祭ったのが、この神社の始まりといわれています。
鏡作神社の御神体は、天照御魂神(あまてるみたまのかみ)です。
参道の右脇に、鏡作神社の由緒書の碑が建っています。
「崇神天皇六年九月三日、この地において日御像の鏡を鋳造し、天照大神の御魂となす。今の内侍所の神鏡是なり。本社は其の(試鋳せられた)像鏡を天照国照彦火明命として祀れるもので、この地を号して鏡作と言ふ」
とあります。
諸説ありますが、この神様の鎮座地が、日読み地(ほぼ立春・立冬の日には、三輪山の山頂から朝日が昇り、同じ日の夕日は、二上山に沈み、春分と秋分の朝日は、竜王山山頂から昇る)という説があります。(今は住宅が立ち並び見えませんが・・・)
また、日神・太陽神信仰の聖地であったことやシンボルである鏡が、日神の御霊代(みたましろ)であることから、この八尾の鏡作神社の正式名は、鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりにいますあまてるみたまじんじゃ)といわれています。。
=ガイドのこぼれ話=
◆天邪鬼はどこだ?
鏡作神社の参道を歩いていくと、手水石があります。その大きな重い石を支えているのが、2匹の天邪鬼です。
一度のぞいてみてください。重くて今にも泣きそうな顔をしていますよ!
◆神社に釣鐘?
かつて神仏習合の時代、ここには真言宗「聞楽院」という寺院がありました。
明治5年に廃寺になりましたが、神社の中には今も鐘楼は残っています。
その梵鐘は、寛政七年(1795年)に鋳造されました。太平洋戦争時の金属供出により徴収されましたが、熔鋳される前に終戦を迎え、大阪で見つかり運よく帰ってきました。
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