田原本町多地区は、奈良時代の条里制の残る農地に、自然豊かな農村景観を持つ美しい集落です。一方で近年の都市化により農家数は減少、高齢の単身世帯も増加。農村資源継承への危機感から、農家だけでなく地域全体を包含する集落営農組織設立の気運が高まり、2004年に多集落営農組合(2014年 農事組合法人化)が設立されました。
基幹作物の小麦や米の二毛作、新規需要米(飼料用・米粉用など)の栽培、稲の育苗や稲刈の請負などの収益化を進めています。 同時に、自治会婦人部や周辺自治会4集落とともに、農村文化の継承や新たな魅力の発掘による地域活性化を目的に「美しい多地区の田園風景を楽しむ会」を2014年に結成。
米作り体験や田んぼの生き物観察会を開催しています。
さらに、2016年より営農女性部や自治会婦人部を中心に6次産業化に取り組み、小麦や米粉、いちごなど地域農産物の商品開発にも挑戦。古事記編纂者で多地区出身の太安萬侶にちなんだ「やすまろ」ブランドの米やうどん、煎餅やクッキーなども商品化し、地元道の駅で直売。地域の雇用創出も図っています。 今後も商品開発や販路開拓、農村交流活動や伝統文化の継承を両輪に、魅力ある農村づくりに邁進していきます。
スイカとメロンに特化し、種子や苗を生産者向けに販売している種苗会社。 中でもスイカの種は、熊本をはじめとする一大産地を中心に、北は北海道から南は沖縄まで全国へ販売しており、約7割と圧倒的なシェアを誇ります。 品種改良には、まず味や食感、見た目に育てやすさなど、特性を持つ親スイカを年間数百種作ります。 さらに改良の目的に適う相性の良い親を探し当て、掛け合わせを繰り返すなど、時間と労力が必要です。実に新品種の発表まで10年を要します。
こうして業界のトップを走り続けているのは、変化する市場のニーズに応え続けてきたから、と話すのは専務の萩原斗志弘さん。 「30年位前までは大玉が主流でしたが、核家族化で小玉のスイカが好まれるようになりました。さらに現在はスーパーをはじめ売場ではカット販売が主流です。そこで、カットしても崩れにくく空洞の無い、色のきれいな果肉のスイカが求められるようになりました。 産地の気候や環境変化に対応し、生産者がどの地域でも安定して生産でき、ハズレの無いことが一番重要です。」